支払督促
ご商売をされていますと売上代金や、やむを得ず貸した貸付金が、なかなか支払ってもらえず、時には泣き寝入りをせざるを得ないことがございます。
私も、お客様がそういう状況に陥って苦労された場面を何度も見てきました。時には、一緒に先方(債務者)の会社・債権者集会や、先方が依頼している弁護士事務所に乗り込んだこともあります。他の債権者が動き始めている、あるいは弁護士が窓口になったというタイミングでは、一度だけ全額回収ということがありましたが、ほとんどのケースで貸倒れか、あるいはわずか数パーセントの配当で終わっているのが現状です。
つまり債権回収は、着手が早ければ早いほどよく遅くなればなるほどその回収可能性は低くなるのが通常だと思います。回収行動の決断、あるいは誰かに相談するのは、早めにされることをおすすめします。(ご自分が売り込んだ、あるいは貸し付けた、ということで人に相談しにくい、相手を信じたい、というお気持ちはよくわかりますが・・)
通常業務の中で支払いを待って欲しいと得意先から言われて、応じないわけにはいかなかった、そして思いのほか回収できない、ということは実はよくあることだと思います。
そんな時、どうしますか?
売掛金請求訴訟(裁判)をおこしますか?
裁判なんて・・そんな大それたことをやるのはどうも・・それに裁判にかかる費用は莫大なのでは?と考えちゃいますね。
そういう時はまず、「支払督促」を検討しましょう。
支払督促とは、「一定の金銭などの支払を求める場合」に「相手方の住所地を管轄する簡易裁判所」に申立をする手続きです。
そのための条件は、
- 金銭の支払を目的とする請求である(従って、土地建物の明け渡し等には利用できない)
- 相手方に送達することができる(相手が行方不明ではない)
となっております。
支払督促のメリット
- 費用が安い・・・申立手数料(印紙代)+郵便代(送達切手代)
<申立手数料例>
債権金額50万円→2,500円 100万円→5,000円 500万円→15,000円 - 書類審査のみで、申立人が裁判所に出頭しなくていい(郵送可)・・・証拠調べがないから。
- スピーディな手続き(早ければ一ヶ月位で強制執行可能)
支払督促のデメリット
- 請求金額に関係なく相手方の住んでいる管轄の簡易裁判所に申し立てる。
- 相手方が異議を申し立てた場合、訴訟へ移行
※どうしても支払えないとき、というのは誰にでもあるかもしれませんが、誠意が感じられなくなったらお客様でもなんでもない、と割り切るしかありません。
そして、(少しずつでも約束どおり支払うなどの)誠意を見せない人はどちらかと言えば自分本位で世の中をなめている方ですから、そういう人に限って意外と裁判所からの郵便物に恐れおののくタイプだったりしますので、急に支払ってくるということも多いようです。(なかには、全く効果のない人もいるとは思いますが。)
そういった意味で、支払督促はやってみる価値があると考えます。
支払督促の流れ
こうなると確定判決と同じ効力を持ちます。つまり、債務者の財産に対して強制執行することができます。
ただし、裁判所が債務者の財産を特定してくれて強制執行してくれるわけではありません。債権者が予め債務者の財産を見つけ、どのような財産に強制執行をかけるか決めた上で、改めて裁判所に強制執行の申立をしなければなりません。
ですから、強制執行による回収を狙うなら、債務者の財産状況は支払督促の申立をする前に事前に調べておく必要があります。
付け加えるなら、(前述しましたが)強制執行をかけられる財産が見つけられないとか、調査のしようがない時でも、心理的圧力による自発的な支払を促す効果は少なからずあると思います。