消費税の基礎

納税義務者・・申告して消費税を納めなければならない者

納税義務者は、事業者として国内において行った課税資産の譲渡等につき、消費税の納税義務があります。

重要

ただし、その課税期間の基準期間(個人事業者は前々年、法人は前々事業年度)における課税売上高が1,000万円以下の事業者は、課税事業者の選択を行った場合を除き、納税義務が免除されます。
(消費税法上の「新設法人」を除く。・・その事業年度の基準期間のない法人のうち、その事業年度開始の日における資本金の額又は出資の金額が1,000万円以上である法人<新設法人>については、その課税期間がない事業年度における課税資産の譲渡等について「小規模事業者に係る納税義務者の免除」は適用されません。

☆ということは・・・

新たにご商売を始める方はまず個人組織で開業すれば2年前1年前(基準期間)が存在しませんので、少なくとも2年間は消費税がかからない(免除)ことになります。

そして、2年目が終わるところで法人組織にしますと別人格となり、また2年前1年前(基準期間)が存在しませんので、さらに2年間は消費税がかからない、ということになり通算4年間、消費税負担がなくなるということを頭に入れておいてください。

(注)法人組織にする意味だとか、メリットについては様々考えられますので消費税負担のことだけで「法人設立をやめて個人形態でいよう」とか「法人をつくろう」という判断はしないでください。いろいろな方面からの検討項目の一つとして上記のような消費税の節税という一側面がある、というお話です。

消費税の計算方式(仕入控除税額の計算方法)

話が複雑になるのを避けるため大雑把に説明していきます。

下記2通りの計算方式があって、そのどちらかを選択することになります。(基準期間における課税売上高が5,000万円以下の事業者に限る)基準期間の課税売上高が5,000万円超、又は(還付を期待して)自ら課税事業者を選択した事業者は、選択の余地なく、一般(本則)方式となります。

一般(本則)方式

納付消費税=課税売上高に係る消費税ー課税仕入に係る消費税

*1つ1つの取引につき消費税上、課税か非課税か、あるいは不課税かを区別して細かく消費税を積上計算する方式
*課税仕入高が課税売上高を上回れば還付になる。ちなみに課税仕入には、建物や機械・車両などの設備投資額も当然含まれます。

簡易課税方式

納付消費税=課税売上高に係る消費税:aー(a×みなし仕入率)

みなし仕入率

イ.第一種事業(卸売業)・・・・・・・・・・・・・90%
ロ.第二種事業 (小売業)・・・・・・・・・・・・・80%
ハ.第三種事業(製造業)・・・・・・・・・・・・・70%
ニ.第四種事業(その他事業)・・・・・・・・・・・60%
ホ.第五種事業(不動産、運搬通信、サービス業)・・50%

*中小事業者の消費税納税事務負担の軽減を図る観点から、課税事業者の選択により、課税売上高に係る消費税額を基準として簡易に納付税額を行える簡便計算制度です。
*この簡易課税制度を一旦選択した場合には2年間は継続適用しなければなりません。

重要

選択できる事業者は、事業年度が始まる前(前事業年度中)に、どちらが得かをシュミレーションして、選択の届出書を提出することになります。

例えば卸売業者は、進行期および前事業年度の損益パターンを分析して、課税仕入の割合が課税売上の90%を超えているようなら本則方式を選択すべきだし、下回っているようなら簡易方式を選択したほうがいい、ということになります。

重要

多額の設備投資をした事業年度は、本則課税方式にて課税事業者にならなければ消費税の還付を受けられません。

店舗開業時に多額の課税仕入が発生しているのに何もしなければ、基準年度の存在しない初年度として免税事業者の適用になります。消費税納付も0、還付も0です。

事業開始年度については、その事業年度終了の時までに「課税事業者選択届出書」を提出する必要があります。ただし、課税事業者選択も2年間継続しますので、翌年の消費税シュミレーションを考え合わせてそれでも還付の金額が大きいときに実行しましょう。

尚、選択の取り下げのタイミング等いろいろ考えなければいけないことが多いので、消費税還付を狙う時は事前に税理士にご相談することをおすすめします。