一般の人は、通常の税務調査と査察調査を混同していることも少なくないようです。普通の調査について「査察が入るとは大変だねぇ」等と殊更大げさに話す方をよく見かけます。
「税務調査」と「査察調査」は違います。
通常の税務調査は、所得税法や法人税などに規定されている質問検査権により行う「任意」の調査であり、一方、査察調査とは、国税犯則取締法に基づいて行う、いわば「強制」的な調査です。
一般の調査であれば、金庫の中を勝手に調べるといったことはできませんが、査察調査となれば、臨検、捜索、差押などの権限があるため、こうした強制的調査が可能となるわけです。
もちろん、簡単に査察調査を行えるわけではなく、査察官が証拠を集め、裁判所から令状をとって行われることになります。従って、悪質かつ大規模な脱税犯又は受還付犯が主な対象先となります。
繰り返しになりますが、普通の納税者の方が経験される調査は、査察調査ではなく、通常の税務調査の方です。
しかしこちらも、任意調査とはいえ、質問検査権が適用されるため、原則的には調査には応じなければいけないことになります。(受任義務がある。)
通常の税務調査(任意調査)の場合、現況調査(無予告調査:約5%強位といわれてます。)を除き、調査をスムーズに行なうために原則として企業または担当税理士に対して事前に通知をすることになっています。
事前予告(通知)の際、<調査対象税目><調査対象期:直前期以前三期が対象となるのが一般的です><調査予想日数><調査官の氏名>等の連絡があります。言わない時は、必ず聞きましょう。
→これらのことをしっかり確認し、調査官の職位を調べたうえで、対策を検討しましょう。(関係者の意思の疎通を確保することが大切です。)